さて、日本酒はどんな原料から造られているのでしょうか。大きく見ると米・水・酵母が非常に重要な役割を果たしています。もちろん他の要素もたくさん関わってきますが、ここでは上記原料3種類についてご紹介します。 |
米(酒造好適米) 酒を造る上で、まず第一に米が必要ですが、ひとくちに米といっても色々な米があり、どれでも旨い酒ができるわけではありません。酒造りに適した米の条件として、比較的大粒で中心部の白く見える部分(心白といいます)がしっかり存在することが重要です。 というのは、この白い部分は柔らかいデンプン質で麹菌などがからみつきやすく、より糖化作用を促進させる役割を果たすからです。 酒造好適米の代表的銘柄としては、山田錦・五百万石・美山錦・雄町・玉栄・八反錦などがあげられます。メインページにある「ひだほまれ」などもこの酒造好適米の一つです。とくに山田錦は最高の酒造米として多くの蔵の最高級大吟醸酒に使用されています。私の経験では、山田錦を使った吟醸酒にはまずハズレの酒はないと思いますので、日本酒素人の方は「山田錦は旨い」と覚えてもらっておいていいと思います。 水 米とくれば次は水ですが、これが実に千差万別でどれがいいとは言えません。水には硬水と軟水があることはご存じだと思いますが、日本酒はこのどちらからも造られています。 カルシウムやマグネシウムなどの塩類を多く含んでいるものが硬水で、軟水はそれらを含みません。一般的に硬水は飲料や洗濯には向かないとされていますが、硬水から造られた酒でも非常に美味しいものが多々あります。素人レベルでは、はっきり言って旨い酒でもどの要素(米・水などの)が優れているのかなどはまずわかりません。 ただ、古来兵庫・灘の「宮水」や京都・伏見の水などは酒造りに最適と言われています。 酵母 酵母は数ミクロン程度の大きさの微生物で、これが酒の発酵に大きく関わってきます。つまり、同じ酒造米と水を使用しても酵母が変わると味に大きな変化が出てきます。明治時代に大蔵省により「きょうかい1号」酵母が酒蔵に頒布されたのを皮切りに、現在ではたくさんの酵母が使用されています。 最近は吟醸酒のような香りがよい特徴を持つものが好まれていますが、これは「きょうかい9号」(熊本・香露で採取)以降の酵母の特徴に多く見られます。 |