日本酒の味について

みなさんの中には、日本酒の瓶の表/裏のラベルや化粧箱の裏などに「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」という表示がされているのをご覧になったことのある方も多いと思います。
これらは日本酒の味を数値化したものなのですが、いったいどういうデータによって数値化されているのでしょうか。


日本酒度

プラスの数値は辛口、マイナスの数値は甘口を表します。日本酒の甘口・辛口の違いは、酒の中のアルコール分とエキス分(主に糖類)の比率にあります。アルコール分が多いと辛口、エキス分が多いと甘口となり、数値の絶対値が大きいほど辛口・甘口の度合いが大きくなるのですが、あくまで一つの目安としてとらえた方がよいでしょう。現在では+2〜+5くらいの辛口酒が主流になっているようです。

酸 度

10mの日本酒中の酸を中和するのに必要な0.1規定NaOH(水酸化ナトリウム)溶液のミリリットル数です。日本酒の中には多くの酸が混在していますが、中でもコハク酸・リンゴ酸・乳酸の3つで全体の約90%を占めています。 前項の日本酒度が同じならば酸度の高い方が辛口に感じるのが普通で、これらの酸を中和するのに必要な0.1規定NaOH溶液の多少で酸度の判定を行います。もちろんこのNaOH溶液が多く必要な酒は酸度が高く、少なくてすむ酒は酸度が低いということであり、一般に平均的な数値としては1.2〜1.3くらいになっています。

アミノ酸度

日本酒に含まれるアミノ酸の総量を示す数値で、10mの日本酒をホルマリン溶液を加えた上記0.1規定NaOH溶液で滴定する際に必要なミリリットル数です。一般的にアミノ酸が多く含まれている日本酒は味が濃く、アミノ酸が少ないと味が薄く感じられます。また、多すぎると雑味(きたない味)が出やすくなってあまり良い味にはならなくなるようです。


これらはあくまで化学的数値上のものであって、日本酒の味というものは個人によって非常に差があるので、これらの数値だけで表しきれるものではありません。

同じ酒でもその温度によっては辛口にも感じられたり、甘口にも感じられたりもしますし、自分の体調や合わせて食べる料理の味加減(甘辛度)にも大きく左右されます。ただ、これらの数値を参考にして自分に合った酒(特に初めて買う酒)を選ぶようにすると、満足できる確率がかなり高くなるのは事実だと思います。
でも、たまにはこういう数値にこだわってみるのも、日本酒ライフを楽しくするためには面白いかもしれませんね。

by M.Sakamoto


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