私と日本酒


 私が昨今注目されている「吟醸酒」に興味を持ち始めたのは、たかだかこの数年の間です。それまでの日本酒のイメージはというと、正直に言って「熱燗で飲む」「古風」「正月の酒」…etc だったのです。 が、飛騨方面へ温泉旅行に行った時、濁河温泉近くの《飛騨小坂(ひだおさか)》という町の小さい酒屋さんで買った1本の地酒が、私の日本酒観を変えました。「ひやおろし」というラベルと原料米が「ひだほまれ」であることしか記憶に残っていませんが、旨い酒でした。 旅行の帰りにもう一度立ち寄って、4合瓶を6本買って帰ったのを覚えています。確か1本1,100円でした。それからです。私の「日本酒狂」が始まったのは。日本酒に関する書物を買い揃え、巷で囁かれている「幻の酒」を買いあさりました。「越乃寒梅」「雪中梅」「八海山」「呉春特吟」等々。
 蔵元に直接何回も電話をかけてお願いしたり、当選するまで抽選に申し込んで直送してもらったり、旅先で蔵元まで直接行って買ったり…。何と日本酒保存専用の冷蔵庫も買いました。確かに「幻の酒」とされる酒は旨い。しかし、中にはとんでもないプレミアムがついていたり、取引酒店に行っても「得意先に全部回さないといけないので売れない」と何度行って頼んでも断られたり…。 いくら欲しくても定価の5倍(!)の値段では買えません。また売ってくれないものも、当然買えませんよね。
 あれこれと苦労してひと通りざっと色々な地酒に接し、本当に良い酒とはどんな酒なのかということを自分なりに考えていき、何となくひとつの答えが出たような気がします。すなわち、私が思うには

1.値段が手頃であること。

 これは当然だと思うのです。やたらと値の張る酒は「高かろう旨かろう」となってしまい、この酒を買って良かったなという満足感に欠けてしまうような気がするのです。

2.甘味がちゃんと感じられること。

 香りだけが印象に残ったり、やたらと辛口であったりする酒は、飲み飽きてしまいます。別に私は甘党ではないのですが、この「甘味」こそが旨さの中心であるような気がします。

3.もう1本買ってこようという気になること。

 たとえそれが頂き物の酒であっても、もう一度自分のお金で買ってこようと思わせるような酒、これは間違いなく自分が「良い酒」だと認めている証拠ではないでしょうか。

 以上、思うところを書いてみました。私は日本酒の専門家ではなく、ただ一介の素人愛好家にしか過ぎません。しかし素人であるが故に日本酒について論ずるのが好きで、それがまた楽しいのです。みなさんのご意見、ぜひお聞かせ下さい。特に女性で日本酒ファンの方のご意見は大歓迎します。


by M.Sakamoto


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