酒造り・プロに聞くA

ひと口に酒造りといっても、造る側には我々の想像を超えた数多くの苦労があります。このコーナーは、酒造りのプロフェッショナルのみなさんへのミニ・インタビューです。

第2回:亀の井酒造(山形県)

Q:日本酒について、どのようにとらえておられますか。また、目指すところ、モットーなどありましたらお聞かせください。


A:  「亀の井酒造」の創業は明治8年。現当主で3代目です。途中昭和17年より企業整備のためやむなく廃業し、昭和29年に復活、現在に至っています。造り酒屋としては比較的新しく、元来地方色の濃い何処にでもある小さな造り酒屋です。隣接市町村を相手に約800石、1.8リットル瓶で8万本を出荷する地元密着型の酒蔵でもあります。

 昭和50年代に入り同業者同士の値引き競争や、地元大手蔵の圧力に屈し、400石まで出荷数量が激減してしまい、蔵としての存続すら危ない状態でした。しかし60年代に入り東京への販売を開始し、県内大手蔵の評価に「地酒ブームの最終便に乗った蔵」と温かいエールを頂き、以来徐々に販路が拡大し、純米吟醸「くどき上手」を発売。当時としては高価格帯にもかかわらず、毎年20%以上の伸び率を示し、純米吟醸の生産比率を高めていきました。

 それに伴い古い設備の見直しを図り、最近5年間に150坪まで冷蔵設備を増強しました。今では県下でもトップクラスの能力となり、品質管理には絶対の自信を持っています。

 今後ますます吟醸蔵としての位置付けを明確にし、他社にない品質の特徴である、「小川10号酵母」のやや甘口で丸みのある風味を大切にして、消費者に愛される商品として安定した供給をしていくことが、愛飲家への恩返しと考えています。

 蔵は庄内平野の穀倉地帯の奥まったところにあり、年間150万人の観光客が訪れる出羽三山の一つである羽黒山神社より車で5分の田園の中に蔵を構えています。
(回答は亀の井酒造(株)専務兼杜氏 今井俊二さん)



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