おお、本編三番手はわしか。ふーむ、さてどのように語るとするかのう。よしよし、この話をして進ぜよう。では行きますぞ。 わしは備中の生まれじゃ。え、いつ生まれたかって? それを言うとすぐわかるので内緒じゃが、ただ言えることは、わしはここのサイトの登場人物の中では最も古株の部類じゃろうのう。それに、わしの出自にも異説が色々と取り沙汰されておっての。まあよい、わしが備中生まれと言うておるんじゃから、そうしておいてくれんかのう。 わしははじめは宮仕えをしておったが、妹がさるご大身の大名家に縁付いたんで、それを頼って東へとやってきたんじゃ。するとのう、妹の亭主が亡くなって家中に内紛が起こっての。わしはこれはチャンスとばかり、ちょいと頑張って妹の子を当主に据える事に成功したんじゃよ。するとご褒美に城をもろうてな。小さい城じゃったが、わしは夢を見ているような気分じゃったぞ。 さてそこからじゃ。わしもこの時代に生まれた以上、大身の大名になってみたいわな。後世の歴史家はわしを謀略家とか梟雄とか呼んでおるようじゃが、当時の武将たる者、野望の一つ二つなぞ誰でも持っておるわい。話を戻すが、次第におあつらえ向きに周囲の事態が進んできてのう。わしは近くの温泉に浸かりながら、隣国を入念に探っておったんじゃ。ん、どこの温泉かと? 今なお名湯として知られるいい所じゃよ。今この国では良質のわさびが全国的にも有名かのう。ま、それはよい。いよいよわしの羽ばたくときがやってきたんじゃ。 わしは六十にしてようやく国持ちの身となったのじゃが、最後の仕上げをするときが来てのう。そこの城を入手するまでには色々と苦労もあったんじゃが、たまたまその城の軍勢が他所へ出陣中で、手薄になっておったときのこと。わしは鹿狩りをすると偽ってその領内に勢子に変装させた手勢を送り込ませてな。一気に夜襲をかけて攻め落としたのじゃよ。わしももう六十四になっておったが、久しぶりに陣頭で暴れ回ってスカッとしたわい。敵は大慌てで逃げ散っていったのう。その時のわしの様子を「戦う事、風の発するが如く、攻むる事、河の決するが如く」なぞと書き立ててくれておる書物もあるそうな。武将冥利に尽きるのう、うわっはっは。 こうしてようやく本拠らしい本拠を持てたんじゃが、さすがにこのあとは苦しい戦いが続いてな。うちの家が歴史に残る大大名になったのも、わしより息子と孫の活躍が大きいのう。特に孫はわしと同じように夜襲に成功し、「三大奇襲戦」とか言われて歴史に名を留めておるようじゃ。 早いもんじゃのう、もう終わりか。では最後に一つだけヒントを進ぜよう。「提灯」と「評定」がキーワードよ。うーん、わしも人が良いのう、これじゃ入門編と何ら変わらんわい・・・。 |
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