戦国 "Who am I ?"

本編その6


 おお、もう六人目か、早いものじゃのう。では前置きは置いといて、早速語るとするかのう。

 わしは天文年間の生まれでの、親父殿は我が家の二十代目の当主じゃった。わしの小さい頃は、ひ弱色白でおとなしいと評されておったが、そんなことはないぞ。ただ目立たなかっただけじゃよ。
 わしの初陣は少し遅くてな、隣郷の国人衆との戦じゃったが、もう二十歳をふたつばかり過ぎておってな。ただこの戦は苦戦じゃったぞ。わしも槍を振り回して二人ばかり討ち取ったのじゃが、あれは危ないところじゃった。ところが、その直後にえらいことが起きてのう。

 というのも、この勝利に安心したのか、親父殿が急に病を得て亡くなってしもうたんじゃ。これにてわしは宗家を相続することになるのじゃが、まだまだ前途多難であったのう。ま、上方と比べれば片田舎だけに、敵といってもそんなに大勢力ではなかったが、わしの軍勢も当時はまだまだ少のうて苦労したわい。
 このわしの兵どもには独特の呼称がつけられておっての、それは普段は農耕に従事しておるのじゃが、具足や草鞋・兵糧などを各自ひとまとめにして槍にくくりつけてな、それを田の畦に立てておくのじゃよ。いざ戦というときには、皆めいめいがその場で支度して駆けつけるわけじゃな。具足をひとかさねずつ皆が用意する、というところから付けられた呼称じゃ。もうわかったじゃろう。

 それからわしはがんばったぞ。十年ほどで近隣を切り従えることが出来てな、一時は四つの国を領するまでになったんじゃ。しかしそれもつかの間、そのころ上方では急にのし上がってきた成り上がり者が幅を利かせておっての、一時は抗したんじゃが、うちの忠兵衛に説得されて結局は降伏することにしたんじゃ。まあ、あのまま戦っておっても負けるのは分かり切っておったが、わしの意地じゃな。
 降伏後、領土は大きく減らされてしもうたが、わしはまじめに協力してやったぞ。かの者の最終仕上げの戦の際には、自慢の軍艦大黒丸に乗ってはるばる出陣したものじゃ。領内で捕れた鯨を献上したこともあったの。そのときのかの者の顔は見物じゃったぞ。目を丸くしての、ただでさえ●●に似た顔が、あの時はまさにそのものじゃったぞ。うわっはっは。

 ただ、息子を亡くしたときは目の前が真っ暗になったのう。そもそもあの軍監めは何という腰抜けじゃ。さんざん我を張っておきながら、少し劣勢になるとさっさと逃げ出すような、あの程度の能力では敵には勝てんわ。おまけにわかりきっておる敵の戦術に見事にはまりおってな。おかげで大事な息子に先立たれてしもうたわい。それ以来わしはもうすべてやる気がなくなってしもうての。あとはただ生きていただけのようなもんじゃよ。

 何、もう終わりか。わしはヒントは出さんぞ。もう十分すぎるくらいに語ったでな。


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