戦国 "Who am I ?"

本編その8


 ふむ、周りは錚々たるメンバーじゃな。この中に選んでもらえたのは嬉しいことよのう。それでは語るとするかの。

 わしは、永禄初期の生まれでな、幼いときに親父殿に死なれてのう。以来親父殿の友垣殿に養われたんじゃが、このお方に仕えることになったので、以後御屋形様と書くことにするぞ。わしは御屋形様とその倅殿に仕えたんじゃが、倅殿とはことあるごとに対立してのう。御屋形様は笑っていなさったが、倅殿はわしには競争心をむき出しにされてのう。結局浪人する羽目になってしまうのじゃよ。御屋形様がわしを我が子のように可愛がってくれたで、きっと面白うなかったんじゃろうなあ。

 面白いことを一つ二つ聞かせようかのう。そうそう、天正十五年のことじゃったか。御屋形様の国元と周辺で国人一揆が蜂起しての、御屋形様はそのとき近郷へ出陣中で倅殿が留守をしておってな、あらかたは鎮めたのじゃが、最後に残った一人がちと手強くてのう。御屋形様がやめておけと言われるのを無視して倅殿が攻めての、もちろんわしも出陣したんじゃが、ものの見事に負けてしもうたわい。戻りなさった御屋形様がきつうお怒りなされたところ、倅殿は敗戦を恥じてなんと髻(もとどり)を切り落としてのう。すると、お追従連中が我も我もと続いての、わし以外はみな俄坊主になってしもうたことがあったわい。ん? わしがなぜ切らなかったかじゃと? 馬鹿言わっしゃい。勝敗は武家の常、そんなことでいちいち髻を切っておった日にゃ、いつまでたっても毛の生えるヒマなどないわさ。

 それともうひとつ、これはわしが浪人中のことじゃ。そのときわしは京におったのじゃが、倅殿から向けられた刺客が二人来おってな。わしは正面から冷静に声を掛けてやったのじゃが、二人ともその場に凍り付いてしもうての。後に復命して腹を切ろうとしたようじゃが、倅殿から「そちたちに討てる相手ではなかったわ」とか言われて許されたそうな。いやはや、倅殿も姑息な手段を使うものよのう。

 わしの最期のことを聞かせてやろうかの。わしは落ちぶれておったが、さるお方からえろう期待されて召し出されてのう。まさに大戦じゃった。わしは伝心月叟殿と左右の大将となって采配を揮ったもんじゃ。しかし、最後の最後で連繋に齟齬をきたしてのう。すべてはあの朝の濃霧じゃよ。天命が尽きたのじゃろうなあ。奮戦はしたが、腰を鉄炮で撃ち抜かれてしもうてのう。飛び道具で落命しとうはなかったのじゃが・・・。

 むむ、もう終わりか。わしには本当にたくさんの逸話があるでな、一度じっくり読んでみなされ。朋輩の酒好き但馬も面白い奴じゃぞ。え、わしか? わしも但馬と同じ「八虎」の一人よ。ではおさらばじゃ。


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