ここでは戦国時代に特有の、少し意味や定義の分かりづらい語句などを集めてみました。 |
赤備え(あかぞなえ) 自軍を敵にアピールするために、武具を赤一色に統一した精強な部隊のこと。武田家の山県昌景、徳川家の井伊直政や、大坂の陣の際の真田幸村などが有名。 宛行(あてがい) 主君が家臣に対して所領を与えること。 穴太衆(あのうしゅう) 近江穴太(あのう)に住む、特に石垣を組み上げるのに優れた石工の集団のこと。戦国期には重宝され、各地の大名らから築城時などに雇われたという。 安堵(あんど) 現状を維持すること。通常は地侍衆などが戦国大名に臣従する場合などに、従来の領地を維持して所有することを主君となる大名から保証されること。 石突(いしづき) 槍の柄の一番後ろに付けられた金具のこと。槍を地面に立てても柄が傷まないようにするためのカバーの役割をする。 一領具足(いちりょうぐそく) 土佐の大名・長宗我部氏の兵制で、平時は農民として生活していたが、常に一領(ひとそろえ)の具足を準備していて、合戦時にはそれを着用してかけつけた半農半兵の身分の低い武士のこと。 一揆(いっき) 百姓や土民・国衆等がある目的のもとに結成した集団のこと。あるいはこれらが一致協力して大名や代官などに戦いを挑むこと。合戦時に同族の武士が一つになって戦うことを言う場合もある。 夷狄(いてき) 朝廷に従わない敵のこと、または未開の民のこと。 馬印(うまじるし) 馬験とも書く。大将の馬の横に立てた、火消し纏(まとい)に似た形状のもの。軍容を誇り、大将の所在を示すために用いられた。 馬廻(うままわり) 主君の出陣時にその脇を馬で固めた、直属の護衛衆のこと。特に武芸に秀でた者のみが選ばれた。 大手(おおて) 城の正門(表門)のこと。転じて敵軍の正面やそこに攻めかかる軍勢のことも言う。 折塀(おりへい) 防御能力を高めるため、わざと折れ曲がった形に作られた塀。 改易(かいえき) 罪を犯した大名や武士への罰として、主君がその領地や禄を取り上げたり、役職などを解任すること。 隠田(かくしだ) 「おんでん」とも言う。支配者に内緒で所有する知行高外の田畠のこと。支配者はこれを見つけると没収して直轄地にした。 水夫(かこ) 水軍の舟を操船する役目、つまり舟の漕ぎ手のこと。漁業従事者が大半だが、時には戦闘に加わることもあった。 過所(かしょ) 通行手形あるいは伝馬の手形のこと。または関所や番所を通行するための許可書のこと。 金掘り攻め(かなほりぜめ) 金掘り人足らの手により敵城の内部まで坑道を掘り進めて行う攻め方。主として敵の戦意を喪失させるために用いられた。 傾き者(かぶきもの) 奇矯な振る舞いを好んでする者。戦国期では前田利大(慶次郎)が筆頭。 鏑矢(かぶらや) 放つと音を発する玉を鏃に取り付けた矢のことで、主に戦闘開始の合図として両軍がそれぞれ敵陣へ射込んだ。 搦手(からめて) 城の裏門のこと。転じて敵軍の背後やそこに攻めかかる軍勢のことも言う。 刈田(かりた) 「刈田狼藉」とも言う。敵領の田畠に侵入して農作物を刈り取ってしまうこと。敵にダメージを与える最も有効な方法の一つ。 起請文(きしょうもん) あることがらについての約定またはそれに違背しない旨を明記した文書。誓紙。 京枡(きょうます) 秀吉の太閤検地実施時以来の秀吉政権下における公定枡で、以前は主に京周辺で用いられていた。 キリシタン大名 キリスト教を信奉した大名で、領国内でその布教に努め、信者の保護を行った。九州を中心に西日本に多く見られ、南蛮貿易なども盛んに行った。大友宗麟・有馬晴信・高山重友(右近)らが有名。 草摺(くさずり) 甲冑の下半身部分で、太股や膝を守る防具(部分)のこと。 曲輪(くるわ) 城の設備の名前で、土塁や堀などで囲まれた区画のこと。 軍監(ぐんかん) 戦場で軍の進退などを監督する役目またはその人。軍目付(いくさめつけ)・軍奉行(いくさぶぎょう)とも言う。 軍忠状 合戦時における自分自身や家臣、従者などの軍功及び死傷状況などを主君に上申する報告書のこと。承認後には返却され、後の論功行賞の証拠として使用された。 軍配・采配(ぐんばい・さいはい) ともに軍の布陣や進退を指図すること、または指図するための道具(軍配団扇)を言う。厳密な規定はないが、軍配は大名や総大将クラスまたは軍師、采配は侍大将クラスの武将がふるうことが多かったようである。 化粧料(けしょうりょう) 女子に対して与えた領地や禄高の呼び名。もとは嫁入りの際に田畑(化粧田という)や持参金を伴うことから発した。 虎口(こぐち) 必要最小限の大きさに作られている、城の出入り口のこと。古くは城戸(きど)といった。 後詰(ごづめ) 先鋒隊や本軍の後方に位置し、戦闘の応援や交替のために控えていることまたはその軍勢。また、籠城時に城を包囲する敵軍の後ろから攻めかかる軍のことも後詰めという。 小荷駄部隊(こにだぶたい) 軍制の一つで、自軍の兵糧を運搬する役目の部隊。輜重部隊のこと。 逆茂木(さかもぎ) 野戦時に用いられた、敵の突進を防ぐために材木類を地に複雑に突き立てて編んだ臨時の柵。 仕置家老(しおきかろう) 各大名家において、あらゆる分野で主君を補佐し、家臣中の最高位とされた重臣。筆頭家老とも言う。 庶子(しょし) 側室など、正妻以外の女性との間に出来た子のこと。農民など武家以外の女性との間にもうけたこともあった。 殿軍(しんがり) 合戦において退却時に味方の主力を無事に退却させるよう、最後まで追撃してくる敵を防戦することまたはその部署(役割)。 陣鐘(じんしょう) 戦場で軍の進退を味方に伝えるために用いた小型の梵鐘。これとホラ貝や陣太鼓等を合わせて命令を伝達した。 陣羽織(じんばおり) 戦国時代に流行した、絹などで出来た袖無しの羽織で、鎧や具足の上から着用した。具足羽織とも言う。 水薨(すいこう) 一種の水葬で、戦死者が多いときや身分が低い場合に、遺骸を川や湖に投げ入れて行われた処置。 捨て扶持(すてぶち) 婦女子や世を捨てた者などに対して、その生活の保護のためにあてがわれた給米のこと。織田家の四重臣の一人であった滝川一益は秀吉に降伏後、捨て扶持を受けた。 戦国大名 戦国時代に1国以上の領地を有し、独自の支配統治体制を確立させた大名。形式上は室町幕府統治下にあったが、その力は幕府では統治できない程強大になっていた。 奏者(そうしゃ) 大名への拝謁、家臣や領民からの上申事項などを取り次ぐ役職またはその担当者。 多聞櫓(たもんやぐら) 倉庫や城兵の生活空間と塀を兼用した櫓で、松永久秀の創案によるといわれる。 嫡子(ちゃくし) 正妻との間に出来た、家督相続順位の一番高い男子。 当世具足(とうせいぐそく) 戦国以前の大きくきらびやかな物とは違い、実用性を優先した具足。南蛮具足の影響を強く受け、弾丸除けの鉄板が多用されていた。 陪臣(ばいしん) 家臣のそのまた家臣。又家来。これに対する言葉が「直臣」。たとえば、上杉景勝の直臣の直江兼続は豊臣秀吉から見ると陪臣である。 被官(ひかん) 大名の支配下にある者の総称。臣従した土豪たちなどもこれにあたる。 深井(ふけ) 泥沼を堀の水の代わりにして作られたもの。 筆本改め(ふでもとあらため) 大名間の軍事同盟や誓紙など、重要公文書における花押や血判などの署名が、当人の手によって正しく記されているかどうかを確認すること。 奉公構い(ほうこうがまい) 秀吉の発案による、罪を犯したり主君の命令に背いたりした者を追放した上で、他家においても仕官できないようにする罰則。黒田長政の家臣だった猛将・後藤又兵衛がこの処分をくらい、物乞いにまで身を落としたという。 棒道(ぼうみち) 合戦を有利に進めるために作られた軍用道路。武田信玄が作った「武田棒道」が有名。 干飯(ほしいい) 米を一度炊き、水洗いして粘り気を取ってから干した携帯食料。湯を注ぐとたちまち「湯漬け」になった。 棒手振(ぼてふり) 天秤棒を肩に担いで道々声を掛けながら行商をして歩いた商人のこと。 巻攻め(まきぜめ) 敵城を完全に包囲して糧道を絶ち、戦意を失わせた上で謀略などにより開城させる攻め方。ほぼ「兵糧攻め」と同じ。 面々稼ぎ(めんめんかせぎ) 戦場で兵たちがそれぞれの自由に敵を討ち戦功を挙げること。賤ヶ岳の戦いにおける、いわゆる「七本槍」の活躍がこれにあたる。 焼き働き 敵城下の田畑や民家などを焼き払うこと。兵糧補給を絶つことと精神的ダメージを与えることに主眼をおいた攻め方。 矢銭(やせん) 大名や幕府が徴発した軍用金のこと。 猶子(ゆうし) 自分の子ではないが、家督を相続させるなどの目的で、自分の子として迎えた子のこと。 祐筆(ゆうひつ) 大名家における公文書の記録や作成を担当する役職またはその人。当然ながら能筆家が多かった。 横矢(よこや) 合戦時に、敵の側面から攻撃すること。「横矢を入れる」などという。 寄騎(よりき) 与力とも書き、大名のある家臣のもとに加勢としてその勢力下に編入させた、直接主従関係のある別の騎乗身分の家臣のこと。例えば、織田家で柴田勝家の勢力下に編入された前田利家などがこれにあたる。 なお、この例での柴田勝家の位置にあたる者を「寄親(よりおや)」という。 林薨(りんこう) 戦死者が多いときや身分が低い場合に、遺骸を山野に放置させて行われたもの。 脇大将(わきだいしょう) 総大将を補佐して軍務をつかさどる役職。 |